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花と食のレター オランダより

オランダから綴る花と食のレター。世界一の花大国オランダから届け、あなたへ。

フラワー・スティル・ライフ

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こないだの日曜日、久しぶりに Noord Brabants Museum に行ってきました。私の住む街にあるこの小さな美術館は我が家から歩いても15分足らず。花の静物画が常設展になっていることやサイズがコンパクトで見やすいため気が向いたらフラッと覗く美術館です。

この日ももう何度も見たであろう花の静物画から。
皆さんもご覧になったことがある筈の、花瓶に溢れんばかりさまざまな色や形の花々が挿され、その花瓶の下には砂時計やかたつむりが転がってたりする絵。

16世紀から18世紀頃に描かれたこれらの絵は、当時の所有者の富を誇示するものでした。
よ~く絵を観察すると、現代のヨーロピアンフラワーアレンジメントのデザインとは違う点を幾つも見つけることができます。例えば絵の中の花瓶には大きくて重量感のある花が上に挿され、小さくてか弱い印象の花が花瓶の口あたりにたくさん詰まっていますが、私達はこのようには花を挿しません。
これは絵に描かれた花にそれぞれ象徴的な意味があり、例えばひまわりは神、白いユリは聖母マリア、フリティラリアは王。この3つの花が入っているときは上から順番にひまわり、白いユリ、フリティラリアとなっており、それは当時の人々にとっての上下関係がそのまま花を通して絵に描かれているということになります。

また花の種類も芍薬、ポピー、カーネーション、あやめ、薔薇、ニゲラ、水仙、ビバーナム、デルフィニウム・・とさまざまにあり、チューリップの品種ひとつとっても 「え、これがもうこの時代からあったのね。」 と確認できるのも楽しい。

ただ、季節のさまざまな花が一堂に会していることから決して写生をして描かれたわけでないことも分かります。つまり夏の花ひまわりがあれば、早春の花すずらんがあり、といった具合に。きっと出来上がるまでに1年の季節はめぐったことでしょう。
更に細かく言えば 「こんなの有り得ないやろー」 というような小さな口の花瓶に大勢の花がアレンジされてる絵からは、あくまでも花瓶と花の組み合わせはアレンジされたものを描いたのではなく、想像上のものだったと判断できるわけです。

このような花の静物画の見方をヨーロピアンフローラルデザインを学ぶ中で教わって以来、美術館に行く楽しみが更に深まりました。

花ひとつを学ぶ中にも切り口はたくさん・・・花ひとつ満足に学び終えないうちに一生終わるくらい、本当にたくさんあります。これがテーブルコーディネートとなるとさらに分野は広がり、陶器・磁器の歴史、銀器、リネン、ワイン、色彩、食、エチケット、歳時記、文化・・・・生涯学ぶ、学びの人生しかありません。


そういえば子供の頃、絵を習っていました。絵の先生は頭の禿げた背の高いおじいちゃんでしたが、いつも左手の小指の爪を魔女のように長くしていたのを覚えています。それがすご~く怖くて子供心に色々と想像したものでした。そして地面が割れるか、というほど大きな声のクシャミ。「ハーークッション!!」とやられるたびに私や周りの子供は椅子から転げ落ちそうになってました。今、思えば個性的な先生だったんだろうな~。二科展に入賞し新聞に名前が載ったことも2回あります(←自慢)。どんな絵を描いたかはさっぱり覚えてないけれどすごく嬉しかったな。そのわりには絵はめーちゃくちゃ下手で今でもデザインを考えるとき、デッサンしながらため息の嵐・・。



今日はとっても冷え込みました。昨夜は今日に備えて塩をまく車が徘徊してましたが、(オランダはスパイクタイヤ禁止のため凍りそうな予報の前日は塩まきに来ます。で、道路は凍らず車が走れると。)明日はどうでしょうか。

それではまた―。



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テーマ:オランダなヒビ - ジャンル:海外情報

  1. 2007/01/23(火) 17:23:57|
  2. 花・オランダのフラワーデザイン
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

お返事です

M.K様:ありがとうございます!でもまだまだです。そろそろデジイチ購入せねば・・と言い訳。

(^ε^) 様:わーーコメントありがとう~♪お父様、そうだったのね~。だから(^ε^)ちゃん、異常なほど英語&スペイン語に長けてるんやね。(^ε^)ちゃんの爪の垢、ちょうだい!煎じて飲みます・・オランダ語、トホホ。
  1. 2007/01/26(金) 16:38:19 |
  2. URL |
  3. Sunny #-
  4. [ 編集]

始めましてへへ~。(^ε^)

ほほほ~なるほど、そんな楽しみかたがあったのね~。奥深いわぁ。

私の父は詩吟を長年教えていたので発声に精通し、英語やスペイン語の発音改善のアドバイスなどしてもらってたな~っとなんだか思い出しました。

  1. 2007/01/26(金) 16:09:10 |
  2. URL |
  3. (^ε^) #-
  4. [ 編集]

写真が大きくてきれいでいいですね。
  1. 2007/01/26(金) 09:32:24 |
  2. URL |
  3. M.K #-
  4. [ 編集]

iztz様:ほんと、面白いですよね!コンテンポラリーな絵は別にして、昔の絵は知識のあるなしでかなり楽しみ方が変わるな~と。ホントまだまだ知りたいことだらけ、ですぅv-267
  1. 2007/01/24(水) 09:16:14 |
  2. URL |
  3. Sunny #-
  4. [ 編集]

おもしろいー!
花の絵にもそんな意味が。

絵ってやっぱりその時々の歴史と
深くかかわっているのですね。
ためになります。ありがとう!!

  1. 2007/01/24(水) 07:56:40 |
  2. URL |
  3. iztz #-
  4. [ 編集]

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Sunny

Author:Sunny
花と食とお酒を愛する
オランダ在住の大阪人。
フラワー&テーブルコーディネートのCijaシージャ主宰。 2児の母。


Cija HP: Cija


オランダの花デザインに特化したブログも書いています。よろしければこちら オランダ・花のディプロマ☆EFDA もどうぞ♪

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