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花と食のレター オランダより

オランダから綴る花と食のレター。世界一の花大国オランダから届け、あなたへ。

悲しい知らせ

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それは一通のeメール。
私がイギリス・コッツウォルズ地方のチェルトナムというかつて王室御用達の温泉保養地として栄えた街にホームステイをしていた頃、お世話になったホストマザー・アンからのメールでした。

彼女の夫で私の素晴らしいホストファーザーであったピーターが癌で亡くなったというのです。
癌とわかってから治療を受けつつわずか11週間後、あっけないほどの速さで逝ってしまったと・・・
信じられなくて、でも、涙が止まりません。


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娘3人の長女がちょうど私と同じ年なので、ピーターも私の父とそれほど年も変わらないはず。
事務弁護士をしながら地元のアマチュアプレイシアター(劇場)で俳優をする背が高くがっしりした体格とハンサムな面立ち、寡黙だけれどとても懐の深い、プラシド・ドミンゴをこよなく愛する英国紳士でした。

同じ劇場で監督、そして時には女優を務める美人のアンは好き嫌いが激しく、どことなくポッシュな女性でしたが、2人はいつも私を郊外のレストランに連れていってくれたり、お芝居に呼んでくれたり、アンの機嫌の悪いときにはダルメシアンと私を連れて、コッツウォルズが見下ろせる丘に逃避行に誘ってくれたりしました。


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演劇だけでなく歌うことも大好きだったピーター。

ドローイングルームにあるグランドピアノを弾いていると嬉しそうに入ってきては、自慢のバリトンを披露。
ヴァイオリンやチェロを抱えた音楽好きの友人たちが勢ぞろいする素晴らしい室内での演奏会に初めて遭遇したときは感激で胸がいっぱいになりました。
その頃、まだ英語が出来なかった私は、「音楽やスポーツ、そして何より心の琴線に触れるのに言葉は関係ないんだ。」 と強く実感したことを覚えています。


しょっちゅうホームパーティーが開かれる家では、ドローイングルームでのウェルカムドリンクから始まるパーティーの手順、もてなし方、お料理・・・を垣間見ることも出来て、怖気づいたりわくわくしたり。
日本の友人が遊びに来て、女3人でスコットランドまで行くことになった時もレンタカーの手配をしてくれたピーター。
心配そうに 「僕の大事な友人だから万全の車をお願いしますよ。」 と電話してくれたときには嬉しくて、 ’僕の大事な友人’だって・・・こんな風に言ってくれるんだ、素敵だなあ、と感激したり。


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数ヶ月を過ぎた頃、自分の台所がほしくなった私は、一大決心をしてホストファミリーを変わることにします。
数百メートル先の家に移るのに、どういう訳か異常なくらいの私の荷物・・・
「まるで3年は住んだかのようね。」と皆に笑われながら、私も泣き笑い。

ピーターは彼のレンジローバーで3度往復してくれました。
そしてすっごく大きな手で私の手を包み込んで 「僕らはいつも君のことを歓迎するから戻りたくなったらいつでも戻ってきたらいいし、遊びに来なさい。」と。


最後に会ったのはその1年半後、イギリスに花を学びに戻った時に遊びに行った時。
ちょうどクリスマスの頃、懐かしい部屋は美しく飾られ、家族勢ぞろいのとき、楽しいひとときを過ごしました。
最後に一緒に撮った写真は今も私の実家にあります。


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私にとってはピーターこそが英国紳士。
後にも先にも彼以上、そのイメージに合う人はいないような気がします。
もう一度、彼に会いたかった。私の家族と共に彼らに会いたかった。

・・早すぎるピーターの死を悼み、心よりご冥福をお祈りいたします。

ピーターのすぐ後に実父のボブを老衰のため亡くした、と続けるアン。
その喪失感は想像するのも辛いです。
時間はかかるでしょうが早くあの美しい笑顔が戻りますように祈りを込めて・・・
アンが元気なうちに必ずイギリスに行こう、と思います。




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テーマ:オランダなヒビ - ジャンル:海外情報

  1. 2008/01/23(水) 00:23:09|
  2. オランダな日々
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

Mじ様

コメントありがとう。
本当に素敵な男性でした。またいつでも会える、とおもっていたことを後悔です。。
今度はオランダの旅、いかがですか?
  1. 2008/01/24(木) 20:46:13 |
  2. URL |
  3. Sunny #-
  4. [ 編集]

も~も様

コメントありがとうございます。
あのいかにも頑強なピーターが・・・・とショックでした。当たり前ですが人の一生は限られているもの、いつも当たり前のことへの感謝を忘れないようにしたいです。

ありがたいことに人との出会いには恵まれてきた、と思います。周りの方に救われてばかりの私です。。><
  1. 2008/01/24(木) 20:43:38 |
  2. URL |
  3. Sunny #-
  4. [ 編集]

M.K様

コメントありがとう。
本当に驚いてショックでした。人の命ってあっけなく終わっちゃうんだなあ。「いつか、いつか」は禁句だね。今を精一杯、後悔のないように、とまた強く思いました。
あの頃、若かったね~私達。世間的にはいいトシでしたが。^^ またあんなことしたいね。
  1. 2008/01/24(木) 20:39:43 |
  2. URL |
  3. Sunny #-
  4. [ 編集]

覚えています、あの背が高い紳士ですね。わたしの間違った英語の使い方をていねいになおしてくださったな~。チェルトナムの素敵なまちが似合う男性でした。ご冥福をお祈りします。
  1. 2008/01/24(木) 04:26:39 |
  2. URL |
  3. Mじ #-
  4. [ 編集]

ホストファーザー ピーターさまのご冥福を 心よりお祈りいたします。
sunnyさんは 今までに たくさんの素敵な方々と めぐり合われてこられたのですね。
そして・・現在の~!
この記事を読ませていただき 人は 出会う人々からの影響が いかに大きいか・・と 夕べから 考えております。
昨年の・・おじいさまに続いて この度の ピーターさまの訃報・・・ どうぞ 気を落とされませんように お元気を出してくださいね。
 
  1. 2008/01/24(木) 01:23:06 |
  2. URL |
  3. も〜も #-
  4. [ 編集]

懐かしさと・・・

あー、思い出した。
このおうち。
Sunnyのベッドと、部屋に靴やブーツが並んでるの思い出した。
ピーターとアンのおうち、思い出したよ。
絵本から飛び出したようなかわいいおうちだった。
あんたの部屋も素敵だった。
あたしたちが訪問したとき、スコットランドへのレンタカーのとき、ピーターはそんな素敵なこと言ってたんだ。英語チンプンカンプンの私には全くわからんかった。
Sunnyのブログを読んで、そのときのことが、不思議なくらい鮮明に頭に浮かんだ。
あたしたちの青春だね。。。

Sunnyの大切な方たちの訃報、心痛推察いたします。それから、ピーターとアンのお父さんのご冥福をお祈りいたします。

早く笑顔になってね。
  1. 2008/01/23(水) 02:21:51 |
  2. URL |
  3. M.K #-
  4. [ 編集]

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Sunny

Author:Sunny
花と食とお酒を愛する
オランダ在住の大阪人。
フラワー&テーブルコーディネートのCijaシージャ主宰。 2児の母。


Cija HP: Cija


オランダの花デザインに特化したブログも書いています。よろしければこちら オランダ・花のディプロマ☆EFDA もどうぞ♪

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