7月、寒いイギリスを早々に後にし、パリに来た。去年とは打って変わって肌寒い夏。何度来ても美しいパリ。堪能するには短すぎる日々の中、パリからおよそ76km離れたモネの晩年の家Givernyを訪れることに。やはり寒い日が続いていたパリなのに、この日は嬉しいことにド晴天。パリから離れるごとに増すゆらめく陽炎に、フランスの田舎を感じながら印象派モネの「睡蓮」を生んだ庭を見れるとあり、心は浮き立った。
2時間ほどかけたのんびりドライブの後、到着したアトリエ前で軽く昼食を採るべくテラスに陣取る。白ワインを飲みながらたっぷりのサラダを堪能した後、モネ生前のアトリエ兼自宅を訪れた。
なんといっても素晴らしいのは浮世絵のコレクション。日本の絵画から多くのインスピレーションを得たと知ってはいても、かなりの数の浮世絵に心底驚いた!広重や北斎など、ブルーと白の浮世絵が各部屋に飾ってあるさまは、まさに一見の価値あり。

色が溢れる庭へと躍り出た。モネは非常に花を愛したが、庭としてのデザインに心を配るよりも、ただ自然の中にある色を知りたくさまざまな植物を植えたという。そしてこの色に囲まれ、ただひたすら太陽の光の下、自然の色をキャンバスに再現していったとか。その謂れ通り、さまざまな色に満れ溢れた庭は無秩序なようでいて、均整の取れた大変美しい庭だった。槿、八重のバラ、クレマチス、ゆり、トラノオ、ダリア、さまざまなハーブ達・・花達は夏の太陽の下で美しい色を競い合っているかのよう。
そして道をはさんだ向こう側には「睡蓮」を生んだ日本庭園が。竹の木立やしだれ柳が静かな小川に覆い被さる様子に日本を思い出し感激しつつ太鼓橋の上でしばし佇む。
この一見変わらぬ風景の中で、一瞬ごと光により微妙に変化する色を描き続けたのがモネ。その彼のもつ「一瞬を見る目」と繊細な感性に、大雑把な我が身を省みながら綺麗に咲いた睡蓮をみた。多くの観光客達のざわめきもシンと静まり返ったかのような気がした。

芸術家の作品そのものを堪能するのも面白いが、芸術家、ひいてはその作品のバックグラウンドを知るのも、更に作品に重みを感じさせて面白い。また、ひょんなことで知ってしまったバックグラウンドから嫌いだった作家の作品を好きになることもある。
この庭ではモネの目に見えた光の色の不思議、彼の表現に対する強烈な情熱を思い、そしてモネを通して日本を見た。それはブルーと白の色、染付と同じ色合いのもの静かでシンプルな色だった。
睡蓮の花言葉って”清純な心”やったかな~、などと思い出しながら一人うなずき、むせかえるような夏の庭を後にベルギーはブルージュへと向かった。
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テーマ:オランダなヒビ - ジャンル:海外情報
- 2004/09/07(火) 07:51:18|
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